ヘンダーソン

リバー・ランズ・スルー・イットのヘンダーソンのレビュー・感想・評価

3.5
所謂自然いっぱいの地方、片田舎に住むことの長所と短所。都会への憧れと侮蔑。

わりと穏やかにストーリーも流れていくし、兄弟をつなぐフライフィッシュの場面も美しい。
ただ、田舎で一生を終えることの難しさが今作の根底に流れている。

兄ノーマンの彼女の兄が都会にかぶれて帰省し、いけすかない男として描かれているのはそういうことだろう。
弟ポールは、繊細かつ豪胆な性格が故に変わり映えのない片田舎での生活に耐えられなかったのだ。
周りの奴らとは違うことをすることでアイデンティティを証明したいポールは滝をボートで下り、先住民の女性と付き合い、違法博打で身を滅ぼした。

弟は田舎に留まることを決意し、逆に真面目な兄が都会に出ることになったことに今作の切なさがある。