かつて製鉄産業で栄えた見伏で起こった大規模な爆発事故。それをきっかけに街と住民たちの時間は止まってしまう。いつの日にか時が動き出すことを祈り、変わらぬ日々を過ごす住人たち。そんな世界でただ一人だけ成長する少女がいた。
時間が止まった世界で前に進もうと抗う少年少女の物語
本作の監督は『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』や『心が叫びたがってるんだ』で有名な岡田麿里さん。
思春期の少年少女の心の葛藤や閉塞感など磨里さん自身が子供のときに感じていた違和感を見事に昇華させている。
特に本作では田舎特有の停滞・保守主義的な雰囲気とそれに対する子供たちの進歩・成長への切り込みがハンパない。非現実的なファンタジー作品でありながら、テーマのリアリティから普段の生活で少なからず重なるものを感じた。
自分が感じたことやコンプレックスを忘れてリスタートするのではなく、常に向き合い傷つきながら成長していく岡田麿里さんの姿そのものを描いているようで観終わったあとは尊敬の感情しか無かった。