mito

アリスとテレスのまぼろし工場のmitoのレビュー・感想・評価

4.1
2023年105本目。
岡田麿里が「さよならの朝に約束の花をかざろう」以来久しぶりに監督した作品。

製鉄所の大火災を起点に時が止まった田舎町。
長きの間、町民達と閉じ込められる事を余儀なくされた中学生の正宗。
数年もの月日を過ごしたある日、同級生の睦美に連れられ崩壊した製鉄所を訪れると…。

かなり賛否両論が別れた本作。
個人的には大分刺さる作品だった=賛側の人間でした。

嫌悪感を感じる人がいるのも良く分かる。
特に中学生捕まえて、そこまで艶めかしい描写でラブシーンを描かなくても良いんじゃないか?という点はそういった意見があってもおかしくないとは感じた。
ただまあ、その要素が岡田麿里監督の特性の一つではあるので何とも言い難いところはある。

後は一種の近親的なシチュエーションにも拒否反応示した人がいるのかな?
あれ、何か似たような状況あったな…と思い返してみたらBTTFだったわ(完全にネタバレだな)

もう一つの監督の特性、登場人物に一種の業を背負わせる、という点はかなり強く、個人的に子供に重しを背負わせる展開に弱く、本作の町に隠された真実と正宗達の境遇が酷くぶっ刺さった。

逆に恋愛模様については、結構重要な要素ではあるのだが、ラストの怒涛の展開の起点であったり、そのラストが希望を見出すまでは良いが、突き抜けて明るい展開になって今までと差が激しすぎたりと、ちょっとアンバランスさを感じてしまった。
脚本家で参加する作品でこういう展開にしがち、だと思っていて、毎回その点は気になっている。

でも、容赦なく登場人物をドン底に落としておきながら、希望的な結末を見出す内容をここまで綺麗に収める事ができるのはやっぱり上手いストーリーテリングだと思うし、それがちゃんと誰かに刺さるようになっているのは、ちゃんと映画してるな…と。
mito

mito