ヤマト

アリスとテレスのまぼろし工場のヤマトのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

【 “神”一重 】

 アニメっていいなと思う。美しいから。

 変化することが許されない幻の世界。幻の心地よい世界を脅かすことは決して許されない。嫌な気持ちにならないという代わりの代償がいくらなんでも大きすぎる。
 最後幻の世界から現実へ向かうときに睦実が言っていた言葉が心に沁みる。「あっち(現実の世界)では夢ができるよ。挫折もするかもね」と、あっちの世界では挫折という感覚すら尊いものなんだと思えた。挫折もこの世界で味わえる醍醐味なのだと。好奇心を存分に解放して、心を動かすことが現実世界の醍醐味なのだと。
 もうひとつ最後の列車での言葉。「未来はあなたのもの。でも、政宗の心はワタシのものだよ」と強欲と正直な純愛の“神”一重を味わった。恋することは“痛いし”、一緒に“居たい”の神一重なのだ。対極の存在が合致するとき、奇跡が起こる。
「現実の世界で生きる以上、感情で思い切り遊べ」という幻の世界の神からの啓示が確かにあった。
 観ている途中、果たして今の自分は現実世界で生きているのだろうかと考えた。しかし、生きていると実感し、安心した。最後に中島みゆきさんの『心音』を聴いたからだ。ここは幸せな現実世界なのだと確信した。
ヤマト

ヤマト