柏エシディシ

モガディシュ 脱出までの14日間の柏エシディシのレビュー・感想・評価

3.0
リュ・スンワンの新作公開してるんだったら教えてよー!
ご無沙汰してます。ファンジョンミンとのタッグ作「軍艦島」、なんとか観たいのだけれど題材からして日本ではちょっと難しいのかな…
第三世界での情勢混乱に巻き込まれるポリティカルスリラーというお馴染みの題材に韓国映画らしい南北問題とリュスンワンらしい骨太アクションを絡めた力作。
冒頭、こっぱ役人にしか見えないキム・ユンソクが徐々にリーダーシップを取りはじめる姿が熱い。額面通りのヒーローじゃない人物が退っ引きならない状況の中、誇りと矜持を見出していき変わっていく。こういうのに弱いのよ。
エキストラを大量に投入してモロッコで撮影された内戦描写の規模と迫力は改めて韓国映画の底力を感じるし、誰もが「怒りのデスロード」を想起されるであろうクライマックスのカーチェイスシーンの撮影アイデアとその爆発力には度肝抜かれる。
そして白眉はやはり晩餐のシーン。全編、リュスンワンらしいドライなタッチであんまりベタベタ演出してこないところが個人的には物足りない部分も今回なくはなかったけれど…あのシーンさえあれば文句はありません。
おそろしい事この上ない少年兵の描写をはじめ、過不足なくメリハリの効いた作劇がまさにリュスンワンらしい抜けの良さを全体的に感じる。終幕も味わい深い。
こういう映画が年間No.1の韓国。うらやましい。そしてそんな観客たちが韓国の映画監督をまた伸ばしているのだろうな。
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