ピアノ弾いてる場合ではない、エイドリアン・ブロディが只管に彷徨う148分。構造的には『テス』『オリバーツイスト』と同じで、主人公が流転する中、各エピソードと背景が通り過ぎて行くだけ。何というか背景で起こってること一つ一つがとんでも無く理不尽だが、フィクショナルな説明はしない、と。かと言ってドキュメント性が強調される訳でもなく、あくまで劇映画であり作品である。この辺、中々最近の説明だらけの映画に毒された者(自分も含む)には理解が難しいのでは無いだろうか。ポランスキーは色々言われてるが、作家としての一貫性は信用していいと思う。