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くじらびとのギャスのレビュー・感想・評価

くじらびと(2021年製作の映画)
3.6
鯨と人間がいまだ"面と向かって"生きる世界。

前知識ゼロで見始め、のんびり見ていたが、次第にそれが神聖かつ危険であることが心に染みてきて、そして圧巻の捕鯨シーンには鼓動が早まった。

日本もかつてはこのようにチームで命をかけて鯨をとっていたことがよくわかる。
この行為やその道具にさまざまな儀式的な意味や祈り、細かいルールが発生するのも当然だ。


捕鯨やマンタ漁に支えられる海の民としての"くじらびと"の生活もとても興味深い。ノスタルジーにも似たまぶしさを感じた。そして現代において危険もおかさず、命を断つ現場も見ず、一方的に飽食するだけの自分たちに罪悪感を感じてしまう。


アングルやカメラワークも含め、映像がとても美しかった。実際の船の上で撮られた捕鯨シーンは迫力が凄まじい。

最後の空へと昇るカメラからの景色に、
鯨の魂、神の目、この小さな世界の過去と未来、などさまざまな感情が溢れた。
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