このレビューはネタバレを含みます
“ヤマアラシのジレンマ”
劇作家フローリアン・ゼレールの書き上げた家族三部作の一作
映画化され自身で監督を務めた『ファーザー』に続いて2度目の監督作品
ちなみにもう一作は『マザー』とのこと
色々な意味でキツかった
テーマがキツい
メンタルヘルスというテーマがとてもリアルに描かれています
それはおそらく誰もが、自身に限らず身近に経験したことがあるハズ
そんなセンシティブなテーマを冷静かつ客観的に受け止めるには、観客側に相当良い精神的コンディションが求められるような気がします
父親がキツい
ヒュー・ジャックマン演じる父親の言動
決して間違ったことを言っているわけではなく、それが強い愛情からくるものだと理解はできるのですが、それを延々と見せられるのは演出としていかがなものか…
映画としてキツい
これはあくまで自分が映画に求めること、そして本作に期待したものが得られなかったという意味
『ファーザー』のノーランばりに時間と空間をいじりたおした、映画という表現手段だからこそできる演出に衝撃を受けただけに今回もそれを多少期待しましたが、本作では結果が容易に想像できるフラグを立てまくりのとてもストレートな演出
一瞬、ラストシーンにそれを期待しましたが、結果はなんとも単純なオチで少々ガッカリ😥
あえてヨカッタところをあげるとすれば、ヒュー・ジャックマンとローラ・ダーンのベテランならではの流石と言える演技
そしてアンソニー・ホプキンス
もう一人の“息子”のトラウマの原因となるカウンター的立ち位置での抜群の存在感
ハンス・ジマーの劇伴もヨカッタ
とは言いながら、ゼレール監督のこの作品に込めた思いはしっかり感じることはできました
心の悩みが引き起こす悲劇は身近な人たちの愛情だけで解決することは難しく、そこには客観的立場からのコミュニケーションも必要だということ
そんなことをこの作品を観た多くの人が考えるきっかけになれば、それも映画という表現手段の重要な役割の一つだと感じました
p.s.
エンドロール最後のメッセージ
この作品で伝えたかったとても重要なことの一つだったはず
これの日本版が必要だったんじゃないですかね、キノフィルムズさん😅