The Son／息子のペンギンのネタバレレビュー・内容・結末

好きなヒュー・ジャックマン主演作なので前から気になってたのもあり視聴。やや中盤あたりに怠慢な流れで集中力を削ぐものの映画のスタートが良かった為、最後まで完走。

ここ最近観た中で1番感情移入した作品。よくある片方に感情移入ではなく、父と子の両方に感情移入できた稀有な作品でもある。特に子の方に感情移入。父に捨てられたと思って17歳まで生きてきて大事な母はその事で悲しみ傷付きそれを側で見てることで同時に更に傷付き殻に閉じ籠る。母と2人で生きていくことが辛く学校にも行き場もない。

父に助けを求めて一緒に暮らすが、父は自分自身も父に妻子共に見捨てられたようなほぼ同じ状況下でも根性と気合いで母にも尽くし勉学にも励み人生を切り拓いてきた成功体験があるから無意識化で息子にも同じ事を求める。
しかし、子は父と同じではない。そんな強さも向き合う力もないので、父が納得するような嘘で切り抜けようとするが何度もバレてホンネのぶつかり合い。
父の本音は「お前の母を愛してなかったがお前の為に何年も結婚生活を続けた。そして好きな女が出来て何が悪い。俺の人生だ。」
息子も捨てられたのは分かっていても改めて本音の言葉を実際に聞いた事で更なる絶望。自分の居場所がないと感じる。母にも生きる事の辛さと父の"当たり前"に合わせてるがそれすらも辛いと言う胸の内を話し、そのあと自殺未遂。

要所で差し込まれるヒュー・ジャックマンと息子との幸せな一緒に暮らしてたときの昔の回想シーンとその場面を思い返す今のヒューの表情の対比が良い。彼は彼なりの方法でいい親になろうと尽くしている。夢であった大事な仕事までキャンセル。

息子は急性うつになっていて非常に危険な状態の為、入院させることを病院から提案され受け入れるが息子が可哀想に見えてきて退院させることにする。これは治療が必要な人間には優しさではなく、罪悪感と可哀想という感情で決めた決断で結果本人の為になっていない。