leyla

人生は、時々晴れのleylaのレビュー・感想・評価

人生は、時々晴れ(2002年製作の映画)
3.8
家族は長く一緒に暮らしていると、いつしか愛とか思いやりとかは失せて、日々の暮らしに追われてしまう。
イライラして誰かにあたったり、文句ばかり言ってしまったり、不機嫌さを丸出しににしてしまったり…そんな経験は誰しもあるはず。

この物語は、ロンドンの集合住宅で暮らす低所得層の3つの家族の生活を描いています。
メインはタクシー運転手の父とスーパーで働く母、老人ホームに務める娘、ニートの息子のどこにでもありそうな普通の4人家族。ひとりひとりが鬱々とした思いを抱え、家族の心もバラバラ。
貧困が心の余裕をじわじわと奪ってしまう怖さを感じました。

👇ここからネタバレ含みます。





ストーリー性があるわけでもなく、淡々と家族の日常が描かれます。
そんなある日、息子が病に倒れる。それを機に、一緒にいるのに疎外感や孤独感を感じていた夫婦がお互いを見つめ直し、愛や思いやりを忘れていたことに気づく。

家族が再生するハッピーエンドではあるけれど、実際には明日も何も変わらない現実が待っている。貧困から抜け出すことはない。

途中でケン・ローチの作品を観ている錯覚に陥ってしまった。

ハリウッドと違い、美男美女は出て来ません(サリー・ホーキンスは出てきたけど)。太った父と子と疲れた主婦を観続ける、これもまたマイク・リー監督作品の醍醐味。

即興で演じる演技はリアリティがあって観ていて切なくなる。その分、最後のハグにグッとくる。

時折でいいから隣にいる人を思いやる心を持てば、人生は時々晴れるのではないかなと思った。

原題が全然違〜う🙀
leyla

leyla