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劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してるのKEiGOのネタバレレビュー・内容・結末

4.6

このレビューはネタバレを含みます

「ピングドラムを愛してる」
前編と同様、10年来の友人と鑑賞してきました。この日は聖地荻窪へ足を運び、あの三ちゃんでラーメンを食べてきました。強面の大将がお一人で経営されてました。個人経営のお店独特の空気感に少し緊張しつつも、店内にそっとピンドラのポスターやグッズを置いているのを目にしてちょっと安心。町中華ってどうしてこう旨いのでしょうか。チャーハンセットじゃなくて餃子にすればよかったかな…。いやいや、filmarksで三ちゃんのレビューしてどうするんだ笑

(閑話休題)

結局自分の中で説明がついてないこともいっぱいある、というかもはや何も分かってないんじゃあないかって程難しいのですが、それでもなんだかよかった。クマのぬいぐるみで号泣している自分がいた。もうそれだけで十分でしょう。彼らの中でピングドラムは輪ったのです。

とはいえ消化不良な部分を残しておくのも後味が悪いので、いろんな方のレビューを読んでみましょう。
まずは井中カエルさん[1]。ピンドラは2000年後半から2010年代を的確に捉えた作品ではあるものの、2022年現在の世相には合っていないのでは?という切れ味鋭いもの。秋葉原殺傷事件を取り上げ、世の中の"孤独感"や"愛"の価値観の変化を評ずる切り口は見事ですね!幾原監督との家族観の違いはもう世代ギャップとしか言えないような気もしつつ。
お次はReal Sound映画部さん[2]。奇しくも世間的に"宗教2世"がホットワードになってしまった状況下での公開になった後編。特に宗教の切り口から深い考察をしている良記事ですね!
”確かに現実の世界では、必ずしも自分が誰かに愛されるとは限らないし、自分が望む相手に愛されることは、さらに難しいかもしれない。だが、少なくとも自分が誰かを愛することはできるはずだ。そしてその愛情は、家族や友人など、さまざまな人に分け与えることができる。この“愛”の受け渡しが起こることによって、本来孤独でひとりぼっちな存在である人間は、“何者か”となれるのではないか[2]”
まさにここ。受動ではなく能動的な愛の受け渡しこそがピングループですよなぁ。言語化できるの本当にすごい(観た直後は友と語らっていた気もするが、流石にレビューを置きすぎたか…w)
最後はおだやかもめさん[3]。幾原作品ファンの熱い言葉が集約されてますね!"「愛してる」が届いていた"すごく素敵な言葉ですね…!愛の後押しの力強さを上手に現した言葉だと思います。

とまぁ、三者三葉の"ピンドラ論"を読んで参りました。それはやはり作品が扱うテーマが社会のかなり深いところをえぐっているからこそでしょう。正解はなく、ただただ浸れる。それがピンドラの魅力でもありますな~。
魅力と言えば、新たなARBのカバーが増えましたね!ピンドラのおかげでHHHを飛び越えてARBにハマってしまった自分としては歓喜ですよ。あ、サントラ買わないと…!円盤も発売されたら絶対一番特典ついてるやつ買おう。

前編のレビューでも書きましたが、10年前の作品がファンの支援を通して銀幕に復活するなんて最高ですよね。いい時代になったものです。こういうコンテンツの力を活かした活動が広がっていくといいのに…!

「バキュッ(だよね?)」


参照
[1]井中カエル, 映画『輪るピングドラム後編 僕は君を愛してる』ネタバレ感想&評価・考察 ピンドラが捉えた2010年代の孤独と絆は2022年でも有効か?, 物語る亀 物語愛好者の雑文, https://blog.monogatarukame.net/entry/RE%3Acycle_of_the_PENGUINDRUM_2
[2]小野寺系, 『輪るピングドラム』は新たな宗教哲学か 劇場版に追加された不気味な予言シーンも, Real Sound映画部, https://realsound.jp/movie/2022/08/post-1104068.html
[3]おだやかもめ, 劇場版輪るピングドラム後編感想・愛することと桃果のイマジン, note, https://note.com/odayakamome/n/n00a6769ee145
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