台風飯店

流浪の月の台風飯店のネタバレレビュー・内容・結末

流浪の月(2022年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

ずっと気になってたので公開日に鑑賞。

第一印象:おっっっっっっっっっもぉぉ
見た直後は軽く放心状態。言葉にできない。

とりあえず役者さん全員の演技力がハンパない。個人的に叫びがちであんま演技力ないと思ってた広瀬すずは卒業した。松坂桃李は空白とか重い約が定着した感じする。そして、圧倒的MVP横浜流星。ゾッとする演技が演技じゃないみたい。白鳥たまきちゃんも凄かった。子供更紗と大人更紗がリンクしてた。

序盤は更紗と亮が微笑ましい感じ。徐々に不穏な空気になってくる。亮が無理やりやろうとするベッドシーンはガチでキツかった。でも亮も心の闇があって人間だなって思って少し同情しちゃう。更紗の「かわいそうな子じゃない」が響いた。結局、亮は自傷することで痛みを知り、解放されたのかなぁって思った。

法律的には、文が誘拐監禁で犯罪者だけど更紗にとっては心身を監禁してたのは昔は家族で今は亮であって、文が自由な居場所を作ってたってことが辛くて苦しかった。
でもそれを理解してくれる人はおらず、バイト先の人達の勘違い擁護とかがキツい。

99%重めでキツイ展開だからこそいきなりポップな音楽が流れる子供更紗と文の微笑ましい生活シーンが更紗と文にとってかけがえのない時間だったことが分かる。2人でいる時は自由だったんだなぁ。「更紗は更紗だけのものだ。誰にも好きにさせちゃいけない。」更紗はこの言葉に救われたんだろうなぁ。文に彼女がいることを知って「幸せになれて良かったね」って言うシーン感動した。
文を大切に思うからこそ更紗は文のために初めて感情を爆発させる。

友達の子供を預かってからの生活はまた少し幸せな感じだったけど見てていつ不幸な展開になるかヒヤヒヤしてた。結果的に警察に保護されるシーンで文が「はなして、もうやめてくれ、はなせ!!」って叫ぶのが辛すぎて泣いた。

文が自分の病気を告白するシーンがあり、ロリコンじゃないってことが分かる。自分もこのシーンがあるまで「ん?結局文はロリコンじゃないって断言できないよな」って少し疑ってたから、自分も劇中の真実を知らない人達と同じなのかもしれないなぁと感じた。見たものでしか判断しない固定観念って怖い。文や更紗みたいになにか理由があって自分をさらけ出せない.自分をハズレだと思ってる人にとっては自分のことをちゃんと知って理解してくれる人や辛い時に手を繋いでくれる人、雨の日に傘をさしてくれる人がいればいいんだろうなぁ。

更紗が水の中で叫ぶシーンがこの映画の辛い部分を表してるのかと思った。大きな声で叫んでも届かない。正しく理解されない。
って映画を見て文と更紗について知ってるから共感してるだけで劇中に当事者として自分がいたら2人の真実について知ってるのは2人だけだから自分が正しい見方ができるのか自信を持てないのがコワイ。

流浪の月という題名が最後に少し回収されたけど結局流されなきゃいけないんだよなぁと思うとさらに辛くなった。

正義とか事実とか真実とかも〜訳分からん!!

辛い作品だけど映像は美しくてこの傑作が地元長野県松本で撮られてることが嬉しいかった。
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