メメン

流浪の月のメメンのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
5.0
正義とは、善意とは、何なのか

この現代社会の陰に潜む様々な感情を取り巻いた、言葉では言い表せない傑作でした。

広瀬すずは勝手に少女代表みたいな偏見があり、適役じゃないと思っていました。しかしその偏見を払拭するほどの雰囲気と演技力に印象が逆転してしまいました。さらに相変わらずハマり役の松坂桃李に加え新境地に挑戦した横浜流星もかなりの演技力で150分という長尺にも関わらず最後まで見飽きる事なく観入ってしまいました。150分じゃ足りない程でもっと観ていたいと思いました。

人の感情を理解することはできない。人はそれぞれ感情があり、意志がある。他人がその感情をコントロールしていい訳がない。他者が決めつける“きっとそうだろう"と言う価値観の押し付け。人は皆何かを抱え、誰にも理解されない苦しみを持って生きている。その苦しみを受け入れてくれる大切な人間の側に居たい。文と更紗だけの世界観。2人だけの愛と感情。

話が進む中で更紗と文の視点に立つ事で様々な感情がパッと押し寄せてきました。
忘れていた感情、忘れてしまっていた感情、忘れようとしていた感情。この映画が全てを思い出させてくれた。私の人生において深く刻まれた映画になりました。

今後これを超える映画に出会えるのか分かりません。それほどの作品でした。
メメン

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