suzu

流浪の月のsuzuのレビュー・感想・評価

流浪の月(2022年製作の映画)
4.5
人と違うのに社会で生きなければならず、人と違うゆえに他者と繋がれない寂しさが主題だったと思う。
人の世に住む我々はみな様々な事情を抱えて生きている。当たり前な事ながら普段は全くそれを忘れて「社会に適応して」生きる事を余儀なくされ、他者にもそれを求めてしまう。
古代の神話では、人はみな自らの欠けた片割れを探し彷徨っているという。それがエロス(生あるいは性の衝動)だという。

「ふみー!見てー!月!」
この言葉と抑揚がとても印象的だった。
なんでもない日常の単純な言葉ながら、愛する人の名を呼び、自分が綺麗だと思ったものをその人にも見せたいとの願いから生まれる言葉。
大切な人と、自然の風や光に感応して、ご飯を食べて本を読んで、そんな風に単純な毎日を過ごせたらどんなに幸せだろうと思うよ。ただそれだけでいいのにね。
suzu

suzu