NaokiAburatani

ARGYLLE/アーガイルのNaokiAburataniのレビュー・感想・評価

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)
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予告とあらすじを観た時点でサンドラ・ブロックとチャニング・テイタムの迷作「ザ・ロストシティ」を思い浮かべたのは自分だけだろうか‥

正直、「監督マシュー・ボーンだし、ロスト・シティの完全な上位互換な映画だ」‥とは言い切れない内容かなぁ。
ロスト・シティは直球な話だったけど、今作の印象は話を捻りすぎて目眩を起こして着地点を見失った感じ。

冒頭の劇中劇のカーチェイスシーンの外連味たっぷりな影像が一番楽しめた。よくあるスパイ映画のワンシーンをあそこまでワクワク観せてくれるのは流石のマシュー・ボーンだった。
が、電車のアクションシーンから向こう、キングスマンシリーズで見せてくれた監督の持ち味とも言える悪趣味なバイオレンスや荒唐無稽さは鳴りを潜め、無味乾燥な展開が暫く続き、退屈になってしまった。
途中エイダンのホテルでの衝撃発言やエリーの父親登場で少し盛り上がったものの、展開が二転三転するのが速すぎて気持ちが追い付かないまま話が進んで置いてけぼりを食らったような気分になった。
そこからサミュエルのところに行ってアーガイルのネタバラシがあるものの、驚きは少なかったなぁ。一応何故小説が現実とリンクしているかの辻褄合わせはあったけど、それもちょっと苦しかった。
それよりもDCと関わって暫く不遇な時代を過ごしたヘンリー・カヴィルが久々に地に足が着いた役すんのかと期待していたのに結局スーパーマンよろしく非実在性人物を演じていたことが完全に明かされて悲しい気持ちになってしまった。私服の時から感じていたが、ドレスに着替えたことで露わになったブライス・ダラス・ハワードの異常なガタイの良さはその伏線だったのだろうか‥いや、説得力持たせるためかもしらんが、いくらなんでもムチムチ過ぎだろ。サム・ロックウェルが小柄に見えるの(173cmだから元々そこまで大柄ではないが‥)はやり過ぎなんではなかろうか。
その後アラビア半島の秘密の番人の居所で、あれだけ執拗に敵にトドメを刺すように念を押してたエイダンの不手際のせいでピンチになってしまったため、実はエリーが孤立無援な状態だったのかと思ったが、そんなことはなく、結局話を展開させるためだけのものだったのも納得感がなかった。
敵から出された飲み物をすぐさま入れ替えるのは芸細だったが、結局全員気を失ったのは笑った。
そこから先は、ハッキリ言ってジェネリックキングスマン的なアクションシーンの連続であんまり盛り上がらなかった。煙でハート作るとか、エリー→エイダン→猫ちゃんのウィンク3連発とか部分的にクスッとは来たがそれだけだった。
原油の上を即席ナイフスケート靴で滑るのも火花起きそうで普通に危なくね?結局マシンガンぶっ放してるし。ヤケクソになってるような‥マシュー・ボーンならではの影像だな、とは思えたけど、エリーとエイダンのタイマンの時にデータを送信して止めての押収もキングスマンで観たことあるし、焼き直し感が強く「じゃあキングスマンでいいじゃん!」と思ってしまった。
これだったらいっそのことヘンリー・ガヴィルとジョン・シナのスタイリッシュスパイアクションを素直に作ってくれた方が良かったし、なんだったらそっちのが観てぇよ。
スタイリッシュで格好良かったタロン・エガートンとコリン・ファースのキングスマンでの活躍を観直したくなった。Manners maketh manばりのキャッチーなセリフも欲しかったなぁ。

ラストのオチはイマイチよく分からんかったし、ポスクレでは「え!?結局??」となって驚きよりも唖然となった。もう‥ユニバースは‥腹一杯なんですが‥
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