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ミラベルと魔法だらけの家のおーもりのレビュー・感想・評価

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)
3.7
安定のディズニークオリティ。
歌と見入ってしまうアニメーションで無駄ゼロで登場人物紹介、心情描写、ストーリーの推進をやってのける神業。
舞台はコロンビア。日本にいる自分からすると、よく知らない文化圏だ。
でもそこをチョイスし、夢と魔法のあふれる物語をつくり続けるD社。
世界中の身近にマジカルは溢れているんだと世界征服をする勢いの意欲を感じる。

でも冒頭からミラベルの立ち位置めっっっっちゃくちゃハードでしんどすぎるんだが!?
こんな過酷な状況で、妙な気遣いを、街からも家族からもされる生活なんて心が締め付けられる。
そんなどん底スタートで始まる物語。
大家族の登場人物それぞれにスポットをあて、怒涛の勢いで描かれるのは
抑圧されていた自分の開放。
なりたい自分になる為に踏み出す勇気。
魔法の力にまさる家族の愛。
そして、特別では無い自分にできること。
これはアナ雪で描かれたテーマ。それを、総まとめして、さらに躍進しようとしている。
近年のディズニー・ピクサーは見たあとの余韻がグルグル考えさせられて勝手に重たくなってしまっていたが、今回は悲しい気持ちにならなかった。

家族の呪いってリメンバー・ミーにも通じるところがある。
逃れられない血の絆。愛があるからこそ気遣われそれが重荷になって。
逆にシュガー・ラッシュだとかは、血縁がなくても家族になれる。ってテーマを扱っているけども。
リメンバー・ミーもアナ雪も本作も、結局はファミリー大事!って結論になるけど、悪しき血の繋がりを蹴っ飛ばして自分の人生を満喫する。っていう作品も出てきて良い気がする。
だってブルーノおじさんの描写が可哀そう過ぎて悲しいんだもの。

で、最後のシーンだけど、魔法復活すんの?それでいいんだっけ?
魔法がなくても大切な物がある。と分かった途端、ふりだしに戻る。的な印象に成ってしまうのはちょっと残念。
ディズニー的に、魔法が失われてもハッピー!みたいな結末に出来ない事情はわからなくもないが・・・