ひなこ

ブルー・バイユーのひなこのレビュー・感想・評価

ブルー・バイユー(2021年製作の映画)
4.0
夜のブランチで紹介されていて、面白そうだったので鑑賞。

幼少期、養子として韓国からアメリカに渡った主人公が、現在は貧しいながらも妻と子供と暮らしているが、突然韓国へ強制送還されるというのが大まかなあらすじ。
真っ当に生きようとすればするほど壁にぶち当たってしまう様子が描かれ、主人公の力が及ばない範囲の不幸ばかりで、人生は平等ではないと否が応でも思ってしまう。
無口な性格の主人公なので、多くは語らないが、「なんのために自分は生きているのか?」「誰かに必要とされているのか?」と、終始問い続けているのだろうと痛いほど感じる。

不幸のボディーブローが続くが、時たま主人公に訪れる小さな幸せが、また涙を誘う。今までジワジワ来ていた痛みが、最後の最後で一気に雪崩を起こしてボロ泣きさせられる作品でした。

しばらく自分の世界しか見ずに生きていると、社会から外れてしまった人達に対して、不快な念しか抱かないようになってしまう。こういった現実を突きつけられる作品を見ると、少しでも生まれた環境・育った環境が違えば、自分もそうならざるを得なかったかもしれない、と何か決めつける前に、多面的に考えられるようになる。
見終わった後の胸のずっしり感は慣れないけれど、見て良かったと思えました。
ひなこ

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