南森まち

プロジェクト:ユリシーズの南森まちのレビュー・感想・評価

プロジェクト:ユリシーズ(2021年製作の映画)
4.0
気候変動、伝染病、戦争による汚染により地球に住めなくなった近未来。人類は富裕層のみが惑星「ケプラー209」に移住した。ケプラーでの生活は2世代目に移っていたが、放射線の影響で人類は生殖機能を失いつつあった。
そんな時、地球の気象ビーコンから反応が見られたことをきっかけに、地球が居住・繁殖できるか環境調査をするための人員を送る「ユリシーズ計画」を開始した。
ユリシーズ2号の乗員たちは調査を開始するのだが、何者かに襲われる…というお話。

原題は『Tides』、この映画のキモとなる「潮の干満」と「人類の盛衰」をかけているのだと思われる。
気候変動により、地球は満潮時は海、干潮時は干潟になっている過酷な世界になっているのが非常に面白い。これ以上書くとネタバレになってしまうので、非常に書きづらい😅
104分と割と短めにまとまっているし、これは結構な傑作だと思います!

ケプラーでの人類のモットーが「人類のために!(For the many!)」という言葉らしく、何度も映画内で出てくる。
しかし、この映画ではいったいどういうゴールが「人類のため」なのか考えさせられます。
特に終盤の主人公の決断は正しいと言えるのか、判断が難しい。さまざまなキーとなるイベントがあるのだが、どうしてこの決断に至ったかを考察しがいのある映画だ。

豪華な宇宙船のセットなんてなくても、一流SF映画は作れるんだなぁ。
『ナウシカ(漫画版)』、『ターンエーガンダム』、『渚にて』、映画『アバター』なんかと似ているテーマだと思う。こういうテーマが好きな人には是非見てほしい。私は大好物でした。

SF好きにはオススメ!