MasaichiYaguchi

グレタ ひとりぼっちの挑戦のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

3.6
スウェーデンの若き環境活動家グレタ・トゥーンベリの素顔に迫ったドキュメンタリーからは、未だ10代という若さながら高い志を持ち、強固な意志で行動する少女の葛藤やピュアな思いがストレートに伝わってくる。
2018年8月、15歳のグレタは気候変動に対する政府の無関心に抗議する為、たったひとりで国会議事堂前に座り込んで学校ストライキを始める。
選挙前の3週間に亘り、グレタは自作の看板を掲げ、リーフレットを配りながら通行人の質問にも丁寧に答える活動をしていたが、簡単に世論が変わる筈もなく、やがて毎週金曜日に「Fridays For Future」と名付けられた行動に移行し、メディアが取り上げたことで広く知れ渡ることになる。
毎週金曜日に行っていたこの活動は世界中の多くの若者の心を動かし、数カ月のうちに国内外へ広がる一大ムーブメントとなっていく。
気候問題に関する専門知識と揺るぎない覚悟を持って行動するグレタは、様々な環境会議に呼ばれ、国連総長アントニオ・グテーレスやフランスのエマニュエル・マクロン大統領、ローマ教皇ら世界のリーダーたちと議論を重ねるまでになる。
私自身の15、16歳頃を思い出すと、洋楽や洋画に夢中になっていて、社会や政治に無関心、グレタのように活動家として過ごすなんて、露程も考えたこともなかった。
それにしても、グレタは各国首脳クラスを前に「歯に衣着せぬ」物言いでスピーチをしていて、凄いと思うと同時に爽快感を覚えてしまう。
だから首脳たちの中には経済を優先したい者もいて、グレタの発言を苦々しく思い、大人げなく様々にグレタに対して口撃する。
それでも彼女は、何処ぞの政治家のように日よらない。
それを象徴するのが、国連本部からスピーチで呼ばれて向かうニューヨークへの旅。
グレタはしっかりしているとはいえ未だ10代の女の子であり、葛藤したり、苦悩したり、時には落ち込むことだってある。
このドキュメンタリーは、彼女のそういった素顔も映し出しながらも、“新たな希望”を感じさせる存在としてクローズアップする。