BK477

ブレードランナー ファイナル・カットのBK477のレビュー・感想・評価

3.5
色々なエンタメの元ネタになっている、映像作品としては初!?のサイバーパンク。 実はちゃんと全編見たことなかった。

徹頭徹尾、セットや美術は本当に凄い。
まさに昔の人が夢に見た「未来の街並み」が味わえる。そうそうこれこれ!というごった煮感。
ネオンぎらぎらの看板や、あちこちにある日本語…

あれから40年、「レディ・プレイヤー1」や「ザ・クリエイター/創造者」なんかで描かれる近未来の町並みも40年前の本作からほとんど変わっていない事から、本作の凄まじい影響力を伺える。

看板の日本語と言えば80年代は日本が高度経済成長期で、トヨタ筆頭に日本車がアメリカに進出し、日本は恐れられていた。
なのでこの時期の映画は、日本車を貶す描写や、日本人が悪役になっていたり黒幕だったりする作品が散見される。
(例えばBTFやロボコップ3、同監督「エイリアン」も日系が黒幕)

アマプラにあるファイナルカット版というバージョンは、映像に追加の処理がされて、とてもキレイで驚く。
だが、私はそうではない"荒い"当時の映像を見たかった気もする。
デジタル処理された映像は、昔の人が見て「すげえ!」と思った"それ"ではないからだ。

とにかく豪華な映像やセットに驚くものの、物語のペースはかなりスローテンポ。
情報密度が高い作品に慣れてしまった現代人にとっては、少々しんどいというのが本音。
オリジナルから追加されたカット「ユニコーンの夢」をはじめとする比喩的表現も多く、難解な作品でもある。
主人公のライバルとなるロイが聖痕(スティグマ)のような傷を受けるシーンなんかも聖書的で、
リドリー・スコットの思想が反映されてると見た。

高い教養が無ければ、本作の意図・真意にはたどり着けない…(私は無理)
おそらく多くの現代人には 「長くて退屈な映画」 という評価をされてしまいそうであるので、
オススメはしないが、きっとSF映画のファンは、いずれ見るだろう。
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