あくとる

最後の決闘裁判のあくとるのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.7
"真実の価値"

巨匠リドリー・スコットということを抜きにしても、これはちょっととんでもない作品。
文句無しで今年ベスト級。

まさに巨匠のなせる業。
落ち着いてしっかりとした画。
長尺ながらテンポが非常に良く、飽きさせない脚本(むしろ展開が速すぎて、一回目は置いてかれるかも)。
豪華な名優たちの演技アンサンブル。
血生臭さもしっかりと映す激しい戦。
そして、何と言っても中世フランスの史実を通して、これ以上なく"現代的な問題"に鋭く深く切り込む胆力。
圧巻の名人芸、至福の時間だった。

古くから根深く存在し続ける有害な"男性性"と、そのなかで生きなければならない女性がいかに危険にさらされているか(同性もまた仲間とは限らない)。
権力、プライド、嫉妬、所有欲といった男の醜悪な要素がこれでもかと詰まっている。
三人の視点から語られる真実の"差異"が強烈に突き刺さる。

真実はそれぞれの中に存在する。
だからこそ戦って勝ち取らなければいけないのだ。
それは現代でも同じこと。

詳しいことはネタバレコメントに書きます!
何でパンフレット売ってないんだ!
来年1月公開の『ハウス・オブ・グッチ』も楽しみ!

※2回目鑑賞しました(10/24)。
やっぱり傑作。
追加の感想はコメントに!