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最後の決闘裁判のnewのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.9
中世のフランスで、騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友であるル・グリから暴力を受けたと訴える。事件の目撃者がいない中、無実を主張したル・グリはカルージュと決闘によって決着をつける「決闘裁判」を行うことに。勝者は全てを手にするが、敗者は決闘で助かったとしても死罪となり、マルグリットはもし夫が負ければ自らも偽証の罪で火あぶりになる。

リドリー・スコット最新作。
女性の人権や性搾取についても重苦しく描いており、近年良く見るテーマではあるものの、リドリー・スコットの技巧で、とても秀逸な作品として仕上がっていた。
各章に区分されて描かれる一つの事件、それぞれの視点でのドラマ。
台詞が少し違ったり、カットが違ったり、同じ物語なのに見え方が変わってくるよう巧妙に計算されて作られており、キャラクターそれぞれの思想や性格が直接語らずとも見えてくる作りには驚嘆の一言。
そして、かつてここ迄、醜く愚かな決闘があったのだろうかと思える最後の決闘シーン。男二人が誇りをかけて命を削り合っているシーンを冷めた目で見ながら、只々ヒロインを応援し続けるという稀有な体験をした。それ程までに成るほど、本作の受け手を没入させる力は凄かったんだと思う。
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