あまり期待せずに鑑賞したのだが、なかなかどうして、見応えのある作品だった。
メインキャストは三名、時系列に沿って描かれる一つの事象を、三者三様の視点から紐解いていく。
女と、男と、男と。
14世紀、欧州においてもまだまだ女性の人間としての権利は、地下深くに埋蔵されたまま。
男性が力でその得たいものを得ること。生物としては間違っていない行動なのだろうとは思う。その影で、涙を呑んできた歴史が女性にはあり、今現在においても、涙を流す人々がいることを忘れてはならない。
女性の凛とした姿、心折れそうな状況下においても、自身に対する誇りを核として立つ姿は、感じるところがあった。
男性はこの作品を観て、自分の立ち居振る舞いが相手にどう捉えられているのか、よくよく考えてみるべきなのだろう。この作中の彼らの姿、そこに投影されている自分自身がいることに、気づいているはずだから。