アマプラ配信終了間際のルネ・クレール傑作選2本目を観賞。
こちらは初期の代表作の1本『巴里祭』から25年後に撮られた後期の代表作とか。
やはりパリの下町の人間模様を描いた人情喜劇・・・いや、こちらは悲劇の要素も。
原題は邦題の通り“Porte des Lilas”(リラの門)で、この門はパリ北東部にあるそうです。
飲んだくれでお人好しの主人公ジュジュと親友の通称“芸術家”の2人が、殺人犯をかくまったことから起こる悲喜劇が描かれます。
クレールの描く下町には常に子供たちが走り回っています。
酒場で大人たちが殺人犯と警察との追跡劇を新聞記事で読み上げると、窓の外では子供たちがその再現ドラマのように犯罪ごっこをやっているシーンがとても面白くて印象的。
良くも悪くも、人々が警察でさえ今より犯罪に対して大らかだった時代と言えましょうか。
また本作でも主人公のジュジュを演じるピエール・ブラッスールをはじめ個性的なキャラたちが際立っています。
いつも酒場でギターの弾き語りをする“芸術家”を演じるジョルジュ・ブラッサンスはフランスでも有名なシンガー・ソング・ライターであり詩人なんだとか。
色男の殺人犯に夢中になる酒場の娘マリアを演じるショートカットのダニー・カレルも浅はかなのに魅力的。