おーもり

LAMB/ラムのおーもりのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.3
羊が大好きなある夫婦、寝ても覚めても羊のことばかり。
雄大な自然のなかでのびのびと成長する羊たちと、ちょっと冷めた関係のパパとママ。
そんなある時、生まれたちょっと変わった羊の赤ちゃんと出会いから、不思議な生活が始まるのであった。
タイトル「ひつじのこ」

面白かったです。不穏、不気味、不安定な落ち着かなさ。
そびえる山々や広がる草原のスケールに対して、静かすぎる環境音。

羊の子供アダちゃん。羊の目って何考えているかわかんないから怖い。
生まれた直後、その全貌がどんな姿なのかなかなか見せない。もったいぶってもったいぶって、親の不注意によって子供が失踪するというゾッとする展開の最後、その素肌が見える瞬間に心臓の嫌な部分を撫でられる気分になる。

この異様な状況に、部外者が入り込んでくる時が崩壊の始まりだな!とおもってワクワクしていると、意外なことに親族で、言葉もあげずにまじまじ見る程度。
あまりのことにツッコミもする気力もなくなっているのだろうか。
そこから微妙なバランスの中年たちが変てこな共同生活をみせられる。

ふとした瞬間の「あっ・・・」って思うシーンの快感というか不快感というか、たまらんものがある。

ここからちょいネタバレありですが
報いを受けるのが奥さん側ではないのが、スッキリしなさからの不条理さを増しましにしていた。

でもラストで思わず、「イヤその体毛の薄さじゃ寒さ厳しいやろがい!!」と内心ツッコミ入れてしまった。
むしろあの峡谷で羊の群れよろしく、取り囲まれているくらいのショッキングさがあってもよかったな。