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LAMB/ラムのsomaddesignのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
4.5
アイスランドの人里離れた山間。羊飼いの夫婦イングヴァルとマリアが羊の出産に立ち会うと、羊ではない何かが産まれてくる。

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お、おお? おお、おおお?

むっず! 消化むっず!
理解も咀嚼もできないまま、雑技団の鉄球飲みオッサンばりに飲み込んだら、喉の奥にいつまでも留まって、いつまでも胃の腑に落ちてくれない。ふとした瞬間にシーンのあれこれを思い出しては、解釈を考えてしまう。気づけば1日中「LAMB」とアダちゃんのことばかり考えてる。さてはこれは恋。

ヴァルデ・マル・ヨハンソン監督によるアイスランド・スウェーデン・ポーランド合作の今作。A24が北米配給権を獲得したことで一躍期待値が上がり、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門にも出品。第94回アカデミー賞 国際長編部門のアイスランド代表作品にも選ばれた。

アイスランドの人口が約37万人で、羊の数が80〜100万頭と圧倒的に羊の方が多い環境。9世紀頃のヴァイキング入植時に持ち込まれたのが始まりだとか。動植物の育ちにくい土地柄もあって、貴重な食料であるとともに衣料の原料としても重宝されたそう。今やアイスランドウールといえば軽くて暖かい最高級毛糸としても有名。アイスランドの人たちにとって、とても身近で馴染み深い生き物が起こす怪異と考えると、より一層ホラー味があって良い。


白夜なせいで、時間が分からないのがおもろい。
てっきり昼の場面だと思ったら全然寝る時間だったり、朝靄の景色かと思えばド深夜だったり。一日中薄暗い、白く靄がかった幻想的な空気が終始不穏さを漂わせる。一体今がいつなのか、近未来か現代かちょっと昔の話なのかも分からない(現役でVHS使ってるし)。

寓話的と言われればそんな気もするが、得られる教訓がなんだか分からない。強欲は身を滅ぼす? 親の愛情と恨みは裏表? 受け取るものは人それぞれ、千差万別の感想がありそうで単純に「つまらない/面白い」で見終えてしまうのは勿体無い。

徹頭徹尾、理解不能な場面の連続で結局何の話だったのか、???で頭がいっぱい。訳わからないままポカーンとしてたら劇場内が明るくなったのでトボトボ帰った。映画に置いてけぼりくらったような映画体験もまた映画の楽しみの一つで、こういう目に遭いたいがために映画館に行ってるのを思い出す。


65本目
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