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LAMB/ラムのhatraのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.5
鑑賞中感じた面白さに対して過剰な余韻が残る不思議な映画だった。
大きな事件や起伏があるわけでもない限定的な物語…ある種のホームムービーを観ている感覚に陥った。
そんな物語で語られるのは「愛」と「原罪」的なことだろうか。

最初はどんなホラーが待ち受けているかとワクワクしていたが、途中からはただ幸せを祈って見守り、同時に倫理観への自問も抱いた。
直接的な表現を使わず気づけば親の視点に誘導されていたり、
その上で本来不気味な形相に空気や仕草のみで愛着を持たせるのは
演出として見事だったと思う。

誰にとって何が幸せなのかすごく考えてしまったし、自分でも知らなかった場所の引き出しを開けられてその中身を見つめさせられた様な余韻が残った。
(全然違う作品だがすぐ思い付くものだと『チョコレートドーナツ』や『そして父になる』『万引き家族』を観た時の余韻と近い。)
「面白い!」とは言えないが、訴えかけるものが個人的には刺さったのでそれだけで価値があった。

教訓はどこかで見た寓話や神話のようであり、具体的には思い浮かばない…普遍的な感情と利己的な行動、その先の因果の話。
なんか「北欧っぽい」としか言えない独特さがあった。
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