ユウ

LAMB/ラムのユウのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.6
「時間旅行ができるようになったらしい。……理論上は。」
これは本作で最初に登場する言葉。冒頭の牧歌的な映像に飽きてきた頃にようやく主人公夫婦の声が聞けるシーンである。そして、この会話は彼らが現在と未来ではなく、過去に囚われていることを明示する。
この夫婦、イングヴァルとマリアは幼い娘エイダ(Ada)を亡くしており、山深い農地で慎ましく暮らす羊飼い。

彼らの飼う羊の一頭が、羊ではない何かを産み落とすところから物語は始まる。
アダ(Ada)と名付けられたその何かは体の半分が羊、もう半分は人間という怪物だった。
とは言えアダ自身は無垢な存在であり、夫婦に愛情を存分に注がれ健やかに、そして優しい子供に育つ。

だが夫婦は白夜の間中、羊の群れに見張られるかのような悪夢に苛まれ、周囲では不穏な出来事が相次いでいく。

とまあ概ねこんな内容の映画。
宗教的、寓話的なモチーフおよびワードは頻出するものの、脚本製作に当たり宗教的含意は一切ないとのことである。……ホントか!?

なかなかいい雰囲気の映画だった。
……いい雰囲気だったが、ホラー映画というカテゴライズには納得がいかない。
ホラーらしい展開はラストシーンくらいで、あとは不協和音ごり押しとびっくり系のみである。

なお、登場する羊は食肉用の品種であるらしい。
ユウ

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