梅ちゃん

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲の梅ちゃんのレビュー・感想・評価

4.6
いわずと知れた、クレヨンしんちゃん劇場版シリーズの評価を、ワンステージ上に押し上げた、名作と呼ばれて憚られない逸品。ラスト、しんちゃんが皆のために傷だらけになりながらも東京タワーを爆走するシーンは必見。

懐古心を利用された大人が不在となり、残された子供達が頑張る様というのは、それだけで涙が出てきてしまう。
状況の設定から、漂流教室、未満都市、チャイルドプラネットなど昔の名作を想起しますが、さすがしんちゃん、相当な危機的状況を、シリアス一辺倒にならず、笑いを交えつつ絶妙な塩梅で見せてくれます。特に『カリオストロの城』冒頭を思わせる園バスでのカーチェイスにはニヤリとさせられます。

ひろしが自分を取り戻す際の回想シーンや、『家族と一緒に未来を生きる!俺の人生はつまらなくない!!』とひろしが自分を誇った台詞、私自身のこれまでの人生を映画に肯定された様で、不覚にも涙が止まりませんでした。このシーンにおける感情を揺さぶる力は、17~18年前の初見時よりも格段に増している様に感じました。これも家族のお陰で、自分なりに豊かな人生を経験してこれたことを自己認識しているからだと思います。家族に感謝です。

ただ、号泣する父をからかってくる息子、ホントにうぜえ。