椎蕈

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲の椎蕈のネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

これと戦国大合戦はクレしんの中でも特に大好き。
普段はおバカなことやってばっかりだけど、急に映画でシリアスに決めてくるからクレしんはやめられない。
平成生まれでZ世代の自分でも刺さりまくったから、昭和生まれの人は特に刺さりそう。

普通に見ると、昭和を取り戻したくて過去にすがるケンとチャコがイエスタデイワンスモアという組織を立ち上げて、永遠に20世紀にしようとした所を野原一家が止める話だけど、裏設定を知ったら印象が180度変わる。

敵の目的は「20世紀のままにすること」だけど、真の目的は「子供のいない世界にすること」だった。
ケンとチャコのモデルになったのは「同棲時代」の次郎と今日子のカップル。
今日子は不妊症で、子供ができなかった。
同棲時代と同じような住まいだし、ひろしも「同棲時代って感じだね」って言ってるし、「夕日街同棲時代」という名前のBGMも終盤に流れる。

不妊症を気にしているチャコの為に、子供のいない世界を作ろうとしたのが真の目的。
ひろしが2人に向けて言った「家族のいる幸せを、あんた達にも分けてあげたいくらいだぜ!」ってセリフの印象も全然違って聞こえる。
家族をテーマにしていて、子供向けなクレしんにしてはだいぶ重い裏設定だったと思う。

最後の走るシーンも七転び八起きで諦めないしんのすけを表していて、細部まで拘っている作品だった。
ちゃんとクレしんらしいおバカなギャグもあるし、ひろしの回想シーンはクレしん史上1番の名シーンだと思うし、クレしん映画の最高傑作だと思う。
なんならクレしんに留まらず、これよりも完成度の高いアニメ映画をいまだに観たことがない。
大人も子供も楽しめる不朽の名作。
椎蕈

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