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クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲のmitakosamaのレビュー・感想・評価

4.4
クレしん映画の記念碑的な1本。あれだけPTAなどから批判にされていたシリーズだったのに、その評判を今作で完全にひっくり返した。
“不謹慎なアニメ”という偏見をたった1作の映画で一掃することがどれだけの偉業か。“クレヨンしんちゃん”というアニメの枠に捕われず、日本の映像娯楽メディアに対し一石を投じた、といっても過言じゃないと思う。
それだけのことをやってのけた。

70年代の大阪万博を模した“20世紀博”により、イエスタディワンスモアのケンとチャコが大人たちを洗脳、20世紀をやり直そうと企む。
親を取り戻そうと春日部防衛隊が乗り込み戦う。

三丁目の夕日のように昭和ノスタルジーが目的に見えるが、実は真逆なのが実にこの映画の素晴らしい所。“昔は良かった”と見せかけて、家族の為に“懐かしさ”を捨てるという大人の辛さを描いた映画なのだから。
それを昭和ネタを盛り込みながら、ギャグとシリアスが交差する展開の絶妙さで表現する。
大人ーひろしとみさえの物語を展開し、二人を追うしんのすけの物語と繋げる物語構成は完璧としか言い様が無い。

オープニングのひろしSUNはわくわく温泉と同じく東宝特撮オマージュを感じるし(万博なのでガメラ対大魔獣ジャイガーか?)、カーアクションはブルースブラザーズのパロディでもある。こういうのも最高!

今作で原恵一の名前も浸透した。押井のビューティフルドリーマーに値する作品だってことよね。
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