サーシャ

俺だって極道さのサーシャのネタバレレビュー・内容・結末

俺だって極道さ(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

IMW2021パート2で観賞。

2021パート1で初めてインド(タミル)映画を観たというインド初心者なのですが、
「マーリ」でアニルドくんの音楽に惚れ込みまして、
主にアニルドくん目当てで映画館に通っています。


監督や俳優、演出などの詳細な情報はインド映画の玄人のみなさんにお任せします。


それが目当てで観に行ってるので、アニルドくんの音楽は言うまでもなく最高です。
ポンコツな極道の若者が一目惚れしたヒロインに尽くして振り回されるという、
私が今までに観たタミル映画の中ではコメディ色の強いラブストーリーなので、
しっとりバラードも軽妙なラブソングもあれば、
後半ではやはり物騒で暑苦しいバトルソングが来ますので、
本当に多彩な方だなーとしみじみ好きですアニルドくん。
若くて小柄で見た目かわいいからって軽率に「くん」付けしてすみませんアニルドくん。


ただ、やはりというかなんというか、
耳の聞こえないヒロインと彼女に尽くす若者のラブストーリーかなー、と思いきや、
極道ものだけあって人の命があっさり奪われたり、
残された者が復讐に命を賭けたり、
暴動が起こって敵も味方も入り乱れ、集団でのくんずほぐれつの殴り合いが始まったりします。
逆にこれらの暴力とか復讐とかがないと物足りないとすら思えてきたんですが、
この感覚が正しいのかどうか自分ではもうよくわかりません。

 
暴力こそパワー!!! たのしい!!! やれやれ殺っちまえー!!!!!


ラストバトルとなると、
たとえ無職の細マッチョだろうと主人公無双し(例:「無職の大卒」)、
ラスボスの悪役とおもむろに一対一のタイマンが始まって、
(タイマンじゃない場合もある)
固めた拳で殴り合って強引にでも話をまとめる傾向の強い気のするタミル映画ですが、
(ダルバールとかマスターとかマーリとか)
(タミル映画全般ではなくアニルドくん音楽映画に見られる傾向かも知れません)
「俺だって極道さ」の主人公は子供の頃から極道に憧れていたものの
基本性根が善良だから残酷非道の極道にはなりきれないイキリキャラとして描かれているので、
ヒロインを守るために己は傷つきながらも本気出して命がけで殴りかかる場面はあれど、
漁夫の利的な感じで結局自分の手は汚さないままいいとこどりです。


ラブコメディがベースの話とはいえ、
「他のタミル映画のアニキどもは……その後の責任はすべて自分が負う覚悟で暴力に訴えるのに……!」と
多少のもやもやは残りますが、まあそもそも映画のジャンル自体が違うのでしょう。


コメディ路線を意識しすぎたか、後半は
「お前なんで丸腰なんだよあっちはその道のプロだぞ!? のこのこしやがって!」みたいな展開もあります。


現地で武器を調達しようとすな。
殺らんとするからには殺る準備をきっちり整えとけ。
自分のその手で殺れ。


ヒロインに恋するあまり周りを巻き込んでまでとことん突っ走る主人公と、
つらい過去設定があるにしたってその主人公の好意にあぐらかきすぎじゃね?な
だんだん要求が過激になってくるヒロインに、
「お前らに付き合ってたらみんな死ぬわ! 勝手にやってろ!」と
ついにブチ切れる主人公の親友ポジキャラ、
彼は観客の心の声の代弁者なのでは……。


「聴覚に障害のある美女といまいち冴えない主人公が織りなす奇想天外ラブコメディー」でまとめるには、
やはり人がよく飛びよく回り、文字どおりふっとばされたり海に流されたりするので、
コメディ路線に走りすぎた感は強くて、特に後半の突っ込みどころは多々あれど、
「映画なんだからこまけえこたぁいいんだよ!」派の人なら存分に楽しめるかと思います。
モブではない名前ありキャラまでもが唐突に血祭りに上げられるっぽいタミル映画としては、
コメディ路線の本作の主人公界隈はわりかし無事なままラストまで行けますので。
細かいとこ突っ込んだらこっちの負けです。
(私のタミル映画のイメージはおそらくたいへん偏っています)


どこから目線だよと自分でも思いますし、
面白かったし音楽はもちろんよかったけど詰めが甘かった、というのが正直な感想ではあるものの、
基本的にコメディ路線なので、そこまで深刻にならずに楽しめる映画でした。


ただ、アニルドくんの音楽が気に入りすぎたんでインド映画を追ってる身としては、
「あの、そこでその、例の映画の曲使うんかいー!」と
映画館で観賞中だったために声は出せぬまま、
あくまでも心のうちですが力の限り突っ込んだりもしました。


アンマー!!!!
サーシャ

サーシャ