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デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNINGのtakatoのレビュー・感想・評価

3.9
 私として世代じゃないですが、デジモンは初代たちの作品が好きで02は軽く通ったくらいであんまり好きじゃないってスタンスです(デジモンと子供たちは初代みたいに別れるべきで、たまに交流くらいなら良いけどずっと一緒にいるのはどうかと)。


 前作が神すぎて号泣もので、「懐かし商法」の数少ない成功例と絶賛しましたが、本作はあんまり評判良くなくて不安でしたが悪くなかったです。前作と比べちゃうとイカンですが、ちゃんとゲストキャラと本作の敵キャラの関係性が築かれてるし、デジモンという存在に対する批評的な視点が組み込まれてるのがオリジネイターじゃない第2世代のあり方として正解だと思います。


 緒方姉さんが某呪術と違って無駄使い感なくて役と噛み合っていたのが嬉しかったし(子供時代もやってるのはびっくりした)、釘宮さんの可愛い声を不気味な感じに逆利用するのも上手い。単なる本作だけのでっちあげ悪役じゃないのが考えてる。


 ただ、02の新作映画としてはあんまり…。ゲストの緒方姉さんの物語と、彼らとの噛み合わせがあまり良くないから動機ががっしりしていないからバトルに乗り切れない…。彼らだけがわちゃわちゃしてるだけで割りと幸せ感がありますが、それだけで満足はできないですし(宮子が良いキャラだなぁ)。敵のキャラ的にも戦わなきゃならん!ってなりづらい設定だし、仲間内であんまり意味のない意見の相違が描かれるのも…。


 しかし、私は「できてない」事より「できてる」事が興味深いなら許せちゃう割合の方が強いです。結局一番大切で一番困難な事が「対話」って結論がファフナー好きとして外せません。便利で簡単な解決策なんてこの世には実はなくて、地味で当たり前のようで全然なされていない、お互いをリスペクトしてちゃんと話し合い考え続けるって結論は実に真摯だし、それがエモーションにも繋がっている(できればもっとやって欲しかったけど)。


 田口監督、今回は「BLEACH」とかもやってて忙しくて副監督をつけたのかな?って邪推しちゃうくらい上手くないとこもありましたが、全体としては嫌いじゃないワ!な作品です。それにしても、緒方姉さんはシンジ君以外にも男でもため息が出そうな美少年とか男装の麗人とかバシッと決める方なんだからそういう役もまた振って欲しい。シンジくんの変奏曲はもういいから。
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