監督と脚本の相性が悪い。
今泉感マシマシの脚本を他の監督が撮っている違和感。やっぱりあの撮影、あの演出、あの音響じゃないとしっくりこない。特にシュールなユーモアと距離近めの演出がミスマッチで笑いにくい(教会のシーンとか)。
城定も控えめだったかと思う。他作品ではもっとおもしろいショットが多かった気がするが、本作は特に印象的なショットもなく、無難な印象。やはり会話が多い脚本との相性が悪いのだと思う。
あと映像の質感が苦手。
今泉脚本のセリフがやっぱり好き。それぞれの人物のセリフが、集団や状況に隷属したものではなく、個々の意思を感じるからおもしろい。「熊本さんと結婚したい」みたいなセリフあたりのやり取りとか。
一見、矢野さんに対する浩司の返事は、『私はあなたを好きではないけど、あなたは私を好きで居続けてくれ』という自分勝手な返事のように見える。しかし、自分のことを好きではない相手、無関心の加害性、相手のことを好きではない自分を踏まえた上の返事であることを思うと、自分と相手に誠実でありながらも、相手への愛に溢れた決断であるように感じる。相手の恋心を否定せず、無関心でもなく、受け入れているのだから。
たしかに、そこに愛さえあれば気持ち悪いなんてどうでも良いよね。
好きだから万引きするというスタートは良い。
殴った男の「イチャイチャしてんじゃねえよ」からのハンカチ洗いに行くシーンは笑った。
