みかぽん

スワンソングのみかぽんのレビュー・感想・評価

スワンソング(2021年製作の映画)
4.0
オープニングは、言うこと聞かない困りものの孤独な爺さん。住まいの老人ホームは何処となく監獄を想像させる。そこに、かつての顧客の遺言を携えた弁護士が現れる。故人は、この老人に自身の葬式ヘアメイクを託したいと願っていたのだ。
しかし老人は怒りの言葉で一旦、これを拒絶する。のだけれど、気を取り直し、最後の仕事を終わらせるべく町へ戻る。物語はこうして回り始める。

程なく、我々は彼がゲイで、そして、戻った町で何もかも失った元カリスマ美容師だったことを知る。

ところで、このウド・キア演ずる主人公パットの、宵越しのお金を持たない的(と言っても大金じゃないんですよ?なので余計に…💦)な使い方に、小心者の私は「ひぇ〜っ」となりながらも、「でもなんかいいな、。あんなに粋な使い方をしてみたいもんだわ」と、にやにや感心させられちゃったりもして。

あとやっぱり忘れていけないのは、今でこそ同性愛者であっても関係を公にしたり、パートナーとの間に子供を持てたりもする世の中にはなったけれど、1990年前後、エイズは同性愛者特有の病気(←嘘)と蔑まれ、特効薬はまだなく、その一昔前にはゲイを公言して当選した市会議員が暗殺されたりする時代が実際にあったのだ。そんな暗黒の時代に小さな町で暮らしていれば、どのような仕打ちと喪失があったかは容易に想像が可能だ。
この作品には、時代の変遷と共に訪れた反骨のゲイ文化の終焉、彼自身の葛藤からの解放(許し)が描かれると共に、死に花を咲かせる?が如くに人生を折り合わせ、打ち上げ花火を上げるみたいにギアを上げて昇華させる、パット・ピッツェンバーグの姿があった。
これがホントに羨ましくもあり、圧倒されての大共感。鑑賞後には色んな意味でハッピーだったと勇気が貰え、心沁み沁みになる素晴らしい余韻😭😭!
みかぽん

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