Finn

スワンソングのFinnのレビュー・感想・評価

スワンソング(2021年製作の映画)
3.8
施設で隠居生活を送るパットは、かつて有名なゲイのヘアメイクドレッサーだった。そんな彼の元に飛び込んできたのは、とある出来事を境に仲違いしてしまった親友リタの訃報と、彼女の予想外の遺言「死化粧をパットにお願いしたい」。
蘇る過去と現在、そしてパットの出した答えとは?

内容は重いはずなんだけど、パットのエレガントでコミカルなキャラクターとシーンにぴったりハマる音楽、テンポの良さに暗くならずに観ることができました。
ストーリーが進むにつれ明かされていくパットの過去と、リタとの間に起きた出来事に胸がギュッとなった。

主人公パットことパトリック・ピッツェンバーガーは実在の人物。本作の監督が若い頃に実際に会ったことのある方で、インスパイアされたんだそう。
監督は同性パートナーと結婚している現代のゲイで、パットを演じたウド・キアはまさにパット世代のゲイ。だからこそ90年代と今のゲイシーンの違いとかがリアルに描かれているのかなと思った。

ゲイやエイズに対する当時のリアクションや偏見、そして悲しい別れ。1人残されたパットは前に進めなくて辛かったと思うけど、あのラストと彼の幕引きがとてもスタイリッシュでパットらしくて好きだった。

パットの孫を演じたマイケル・ユーリー、「アグリー・ベティ」以来久々に観て懐かしかった!出演シーンは少ないけど、すごく印象深かったな。

「赦す」ことについて考えさせられる、暖かい作品でした。エンドロールの最後まで観てください!
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