めちゃくちゃな貧しさの中に、豊かなヒューマニティを見つけることのできる映画です。感動しました。
主人公の生まれたシチリア、バーリアの街を舞台に、30年代から80年代までのイタリアが描かれています。どんどんシーンが変わるので最初は戸惑うかもしれませんが、すぐに惹きつけられて画面から離れられなくなります。単なる家族の物語ではないのだと気づきました。イタリアという国と一つの時代そのものを描いた、大きな作品なのだと理解し、細かいことは気にせず観ました。
もう何が面白いの分からなくても笑ってしまいます「あぁ、イタリア人！」としか言い様のない、騒がしくて感傷的で、笑顔の眩しい人々が、映画の中に生きています。ニューシネマパラダイスでは監督の映画への愛を感じましたが、こちらは故郷への愛と共に、普遍的な人生への賛美を感じます。知らない土地なのに、私までノスタルジーを感じるのは何故でしょう。ラスト、二人の少年の人生が交差した瞬間に涙が出ました。
大きな時代の流れを、こんなにリアルに、こんなに優しく、豊かな人間愛と共に巧みに描くことのできた映画が、日本にあるでしょうか？ある意味イタリア人が羨ましいです。
共産党のことなど、すこし予備知識は必要かもしれませんが、イタリアが好きな人には是非観ていただきたいです。
