Jun潤

ラストサマーウォーズのJun潤のレビュー・感想・評価

ラストサマーウォーズ(2022年製作の映画)
3.6
2022.07.06

予告を見て気になった作品。
最近もう子供と少年少女と高齢者に弱い。
そんな、子供の夏の宝物のような雰囲気を放つ今作、観逃す手はない。

「僕の映画のヒロインになってください!」
そんな一言から始まった、映画好きの小学6年性・陽太が、離れ離れになってしまうかもしれない想い人の明日香を主役に据えた自分で映画を作る、小学生最後の夏休み。
元映画監督志望の担任の先生の助言から、脚本家、プロデューサー、カメラマン、録音のスタッフを集め、企画が走り出した。
スポンサーもいない、予算もない状況の中で、熱中している好きなことや、何にも囚われない自由な発想から、映画制作を進めていく陽太たち。
しかし子を心配する親の愛情故の妨害が降りかかる。
果たして映画は完成するのか。
「僕が君を最高のヒロインにしてみせる!」

いや〜輝いてましたなぁ!
大人の恋愛の鈍い光でも、青春の淡く眩い光とも違う、ただ純粋に、力強く真っ直ぐに光り輝く少年少女の自由な姿。
その情熱を何のしがらみもなく外に出しているかのように素直で、正直な行動を邪魔することは、何人たりとも出来はしない。

大人たちの姿も印象的でしたね。
過去の後悔から来る母の愛、自由に育っていることを信じている父の愛、子供たちの情熱を正面から受け止め、下から支えて見守る兄や担任の愛。
時に子供はその愛すら乗り越えて、自分の正直な気持ちに従って行動する。
その姿は、親に成長を喜ばせるだけでなく、観ている側にも力強さと安心感と少しの嫉妬を感じさせる。

個人的にはBGMが印象に残りましたね。
映画制作が順調に進むことに合わせて高揚感を与えるものから、暗雲が立ち込めた時に流れる不穏なもの、そしてラストの撮影場面は長妻怜央が叩く太鼓の音を乗せて、テンポの良さだけでなく力強いものに仕上がっていました。
小学生らしいコミカルな動きと、それに合わせた気の抜けるSEなども、その場限りのお笑いシーンのみで終わらせず、ラストのなんじゃそりゃ!な場面に繋げていましたね。

あとはBUMP OF CHICKENの『グッドラック』という曲のPVで描かれた、山崎貴監督が少年時代に自主映画を制作したエピソードと共通して、陽太たちの作品は大作じゃないかもしれない、大人が見ればこんなもんかと思うものかもしれない、でも陽太たち6人の記憶には刻まれ、映画に携わらないとしても、子供たちの将来に良い影響をきっと与えてくれる、そんな確信を得られる作品。
Jun潤

Jun潤