上映時間の1/3ぐらいは泣きながら鑑賞した。
それは、「ラジオに投稿を行っている、人間関係不得意」な私が、ツチヤにとても感情移入してしまったからである。
しかし、私はツチヤのような有名ハガキ職人では全くないし、ツチヤほど社会的礼儀が欠けているわけでもない。
私がツチヤに抱いている共感は、氏家がツチヤを見て「昔の自分を思い出す」と言ったのと同じぐらい傲慢なものではないのか?
しかし、学校や職場でコミュニケーションがうまくいかず、生きるのが苦しくなった時、ラジオの番組内で芸人さんが私のことを話題に出してくれたことで、「私の居場所はここにある、ここにしかない」と強く感じ、お笑いラジオへの投稿が、私を現世へと留めてくれたのも事実なのである。
だから、ツチヤがケーt……デジタル大喜利でレジェンドになったシーン、ベーコンズのラジオで西寺から「一緒に漫才を作りたい」と言われたシーンでは、特に涙が止まらなくなってしまった。
キャスト陣の演技に目を向けると、ベーコンズのお二人の声が、モデルとなったコンビにかなり似ていることに驚いた。
本当に某ANNを聴いているような気分になった。
また、クライマックスでの漫才シーンの熱量が印象的だった。
パンフレットによると、該当シーンは一発録りで、観客の笑いを編集で足すこともなかったらしい。
西寺役の仲野さんが途中少し噛むところも含め、本当に配信でお笑いライブを見ているかのようなリアルさだった。
「仲野さんも板橋さんも漫才うまいな〜」と感嘆したが、令和ロマンが漫才指導を行ったとエンドクレジットで知って納得した。
端役で出演している大阪吉本の芸人さんについては、久馬さん、赤木さん、てつじさんはすぐ分かったものの、女と男のお二人、毛利さん、西野さんあたりは、エンドクレジットを見て「出てたの!!?」と、めちゃくちゃびっくりした。
再鑑賞する際には、そのあたりも注目して確認したいと思う。
見るとまた心がしんどくなりそうなので、申し訳ないことに2回目の鑑賞はかなり先になりそうだが……。
最終的に、ハガキ職人としての熱量も社会性も絶妙に持ち合わせていない、自分の中途半端さが悲しくなってくる作品だった。