タイトル通り、｢笑い｣に取り憑かれた｢カイブツ｣としか言いようがない｢ツチヤタカユキ｣という男の半生。
何の取り柄もなく鬱屈とした生活を送る中で、大喜利という｢笑い｣と出会い、センスを磨きに磨き磨きあげる。やっと番組に採用されたことにより、恐らくこれが彼の中で唯一社会に認められたような感覚になったんだろう。
しかしいざ社会に出てみると、やりたいことと求められることの乖離があまりにも激しく、またもや社会に否定された感覚に陥る。手を差し伸べてくれる人もいるが未熟さか若さ故かその手を振りほどいてしまう。
人によっては言動が身勝手すぎてイライラする人もいるだろうが、個人的にはすごく応援したくなる人物だった。成功体験が乏しいと、どうしてもそれ以外で自分の価値を見いだせなくなる。大袈裟に言うと自分の存在価値の証明がそこにしかないからだ。だから否定されると絶望する。
人はそんなに強くない、私も同類だからだろう。
