エリザ・ヒットマン監督作品。
本人かどうかよく分からないyoutubeチャンネルから視聴（https://youtu.be/wdNx5VRXGeE ）。

後のヒットマン監督作品に引き継がれる少女の心の機微とシスターフッドを描いているように思え、みれてよかった。というか、その原点と言える作品なのだと思う。

以下、ネタバレを含みます。

本作で着目したいのは、ソーニャに対するケアの欠如である。
彼女は17歳の少女であり、大人になるまで他者から心身の配慮が求められる人物である。しかし彼女の父は、ソーニャのことを一切気にかけず、買い物に行かせる。さらに「ビジネス」といって子ネコの多頭飼いもしているが、その餌やり、排泄物の処理はソーニャにやらせる。このようにソーニャはケアを与えられるはずなのに、父と猫にケアを与えている。

クラブで出会った男との情事でもそうだ。彼はソーニャをヤる対象でしかみていない。そこに愛は、彼女への気遣いはない。だからジーンズとパンツを脱いだ彼女であっても、ベッドから抜け出す。

物語はソーニャが子ネコを海辺に捨てに行くことで終わる。ピンクのリボンがついた子ネコはソーニャのことだ。子ネコは親ネコからのケアが必要だが、親から引き剥がされ大海原に出ていかなければならない。子ネコの足取りはたどたどしい。けれどそれでも一人で生きていかなくてはいけない。ソーニャはケアが不在の世界をどのように生きていくのだろうか。女友達との絆がそこにはあるが心もとない。

蛇足1
ソーニャと女友達は、クラブでナンパしてきた男を怪訝な面持ちで追い払うにも関わらず、イケメンが登場すると一緒に踊り出す。この感覚は何となく分かるし面白い。
そしてソーニャと彼との情事においても、ソーニャはジーンズとパンツを脱ぎ、キスもするのだが、ヤるのは決然とノーと言う。この複雑な心情の表現がとてもいい。

蛇足2
朝帰りで親にバレないためにヒールを脱いで自室に戻るシーンがあるが、この描き方も上手いと思った。男の監督はなかなか思いつかない気がする。

思春期の女の子へのまなざしと距離感が絶妙。好き。

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