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女神の継承のkanacoのレビュー・感想・評価

女神の継承(2021年製作の映画)
3.5
タイ東北部の土着信仰にて代々“女神”の巫女を務めている霊媒一族を取材するドキュメンタリー…という設定のモキュメンタリーホラー。多ジャンル複合感やラストの儀式の盛り上がりが◎アジアンホラーな雰囲気も良い!考察が好きな人にもオススメ!テンポのゆったり感や行動の不自然さは目に付くかも🤔(140文字)

****以下ネタバレあり&乱雑文****

◆あらすじ◆
2018年ドキュメンタリーの撮影班がタイの霊媒について取材を行った。大勢の霊媒者と会った後、撮影班はタイ東北部イサーン地方の小さな村で暮らしている巫女ニムの生活を追うことにした。彼女は人々を守る善き精霊・女神バヤンの巫女であり“よりしろ(霊媒)”だった。取材を続ける中で、ニムの姪であるミンが原因不明の体調不良になり、人が変わったような言動・奇行を繰り返すようになる。ニムはミンの症状について、姪が自分の後継者となる巫女に選ばれその影響で何かに憑りつかれてしまったのではないか、と考え祈祷を行う。取材班も撮影を続投するが…。

❶タイの山村の土着信仰を取材するモキュメンタリーホラー

タイ東北部イサーン地方の土着信仰にて代々“女神”の巫女を務めている霊媒一族を取材するドキュメンタリー…という設定のモキュメンタリー(=フィクションを、ドキュメンタリー映像のように見せかけて演出する表現手法)ホラー。

村の人々を守る善き精霊“女神バヤン”の巫女を取材する中、次の後継者と思われる巫女の姪(バヤンの霊媒は代々一族の女性が“よりしろ”となって儀式を行う)に霊媒能力の継承に似た兆候が表れる。巫女の力が本当に継承されるのなら世代交代の一部始終を撮影できるかもしれない。そう考えた撮影班が最終的に映像に収めた「恐ろしい一部始終の記録」を描いた作品…という感じかな。

❷好きだったところ…多ジャンル複合感、ラストの儀式の盛り上がり!

他の方々もレビューされているが、様々なジャンルが複合しているような作品だと思った。 POV・モキュメンタリー、田舎の土着信仰や儀式系、エクソシスト系、ゾンビ系、そして人怖でもある。この、他ホラーのいいとこどりを上手にまとめるのが監督さんは得意なのかなと思う(『心霊写真』の時もそうだった)。

クライマックスとなる儀式開始からの阿鼻叫喚な展開は盛りあがって楽しかった。また、全てを鑑賞した結果「なんだか人間の温かみがまるで感じられない、冷たい映画だったな…」と思ったのでホラーとしてはそこも良かったかも。演者さんたちの演技もとても良かった!

❸好きじゃなかったところ…テンポの遅さと不自然さ

かなりスロースターターな作品だと思った。モキュメンタリーかつエクソシストホラーだから仕方ないのかな…とは思うが、事実130分もあるのでエクソシストホラー作品の中でも特にのんびりに感じる。

この状況下で取材班がカメラを構えたままなのがどうしても気になる。今回はカメラマンの人数も多いし、一室での出来事も多いので演出に自然な工夫がもっとできそうなのに、頑なにカメラを離さないで仲間が死ぬのをとりあえず収めてから、お行儀よく今度は自分が襲われる…。またカメラだけではなく、事態に対して取るべき行動としてそれはしないだろう…みたいなことがチラチラ発生するので都度、冷める。せめてあんな奇行に走る娘は縛っておいて欲しいし、フリーにしてもしなくても同じ家に赤子は寝かせるな…。

❹考察ありきの作品でもあった。

「悪い」とされている行為の重ねによってカルマが貯まり「悪い人」に憑りつく悪霊が群がって一族を破滅させたのか。逆に呪いの藁人形みたいなものが最後映ったから悪霊たちが群がった結果、悪行を促され悪いカルマが溜まったのか…。

女神バヤンはいたのか、悪霊に敗北したのか、別の理由でいなくなったのか、そもそも初めからいなかったのか。

ニムは巫女だったのか、正当な巫女だったが能力が力負けしたのか、初めから巫女の器ではなかったのか、そもそも初めから巫女など存在しなかったのか…。

第一、そもそも土着信仰の精霊は別に人間のために存在しているわけではないものね。あらゆる自然物に宿り、そこに「存在する者」というだけなわけだし…🤔

人によって意見が違いそう。


🐝💦「自宅PCで見る分には、割とのんびりしたホラーだったのでそんなに怖くは感じませんでしたが、映画館で見たら臨場感も相まって怖いだろうなぁと思いました😂ちょっと鑑賞途中で疲れてしまい、1時間みたところでいったん休憩して1時間睡眠をとったら、久しぶりに重い金縛りに会いました😂え?呪い(そんなことはない)。起きて残りの1時間を見たら儀式が面白かったのでスッキリし、夜はぐっすり眠れました(笑)」
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