ヒダリ

女神の継承のヒダリのネタバレレビュー・内容・結末

女神の継承(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

神々、精霊、悪霊。ああ!!お前たちのなんッと理不尽なことか!!!
この映画は信仰の大事さ、または逆にその不要さ、神の実在/非実在、悪霊はおっても神なんかおらんでwみたいなニヒリズムのどれでもないものを描いているように思った。つまるところ、超自然的存在たち、something greatの本質がここにある。
彼らは"人間のためにいる"存在ではない。ただ純然と"そこにいる"だけだ。それに対して祈り信仰することは人間側が勝手にやっていることであり、そうしたものをいくら積み重ねたとて神サイドにそれに応えてやる義理は本来ない。にも関わらず我々哀れなザコ羊らは神はいないだ薄情だとギャーギャー騒ぐわけだ。
あのオバチャン巫女は霊験に幾度となく遭遇してきた。にも関わらずポッキリ折れる。そして祈祷師ズもボッキボキに負ける。だから神はいないのか、信仰はくだらないのか。否である。これこそ神のデカさ、信仰が尊いものである所以だ。神々から数多の恩恵を受けてきた歴戦の行者ですら、ただ信ずれば良かったタイミングで信を失う。ずっとわからなかろうが結果的に奇跡は起こってきたのだから、今回も起きるまで待てば良かっただけの話。それが莫大な不安の前では水の泡。禅定を攪拌されずいることのなんと難しきことか。また、直前で折れちゃったにも関わらず必死にやってきた巫女に最後の最後で応えない神の超然さよ。我々の思う通りに働きかけてくれると、逆になぜ人は思えるのだろう。応えないからこそ人智を超えた思議を絶する存在であるというのに。
作中でキリスト教はまるで何の役にも立っていないが、キリスト教的な神の気まぐれさ、悪霊という心の弱さ増幅器に面白いようにやられ惑う人間の仔羊感があった。悪霊も西洋の悪魔のノリだしね。

ホラー要素に関しては、特別怖ッてところはないけど、ダイナミックにイカれてたしそこそこの血みどろもあり、ジャンプスケアに頼り切りってわけでもなかったのでよかったですね。
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