このレビューはネタバレを含みます
SLAM DUNKを読み、アニメを見て育った自分としては、まさに青春そのもの。
アニメではインターハイに出場決定したところで終わってしまったが、満を持してついに、このタイミングでの映像化。
ここまで来るには、作者、関係者共に色々とあったとは思うが、何はともあれまずは感謝しかない。
前情報は公式が意図的に隠していたということもあり、一切なしで見に行きましたが、期待を遥かに超えた作品になっています。
以下、壮大なネタバレを含みます。
まず、オープニングで井上先生の原画から動き出すシーンで、いよいよ始まるんだ!というワクワク感が凄い。
そして、最初に描かれるのが、ポイントゲッターであり、湘北の指令塔である宮城リョータ。
そう、今回の主役は本編でもほとんど語られることがなかった彼といっても過言ではありません。
幼少時、沖縄で兄のソータとともに1on1でバスケット勝負をするリョータ。兄は地元バスケットチームのエースであり、弟思いであり、リョータにとってかけがえのない存在だった。
そんなソータも父親を亡くし悲しむ母に対して「俺がこの家のキャプテンになる!」と宣言し、リョータには「お前は副キャプテンだ!」と発破をかける。
この後は短編読み切りでも描かれていましたが、ソータは海の事故で亡くなってしまい、リョータは最後の兄に投げかけた「もう帰ってくるな!」という発言を激しく後悔することに。
沖縄で生活すると辛さを感じてしまうのが理由なのか、リョータと母と妹の3人は本土へと引っ越しをし、成長したリョータは湘北へと入学することになる。
こういった、あまり語られなかった各キャラのエピソードが、原作最終戦である、山王との試合の流れに合わせ差し込まれていく。
これは、まさに原作者が監督でなければ出来ない事であり、よくぞ描いてくれたとしか言えない。
試合の流れについてはほぼ原作準拠であり、名言である「諦めたら試合終了ですよ」も飛び出し、それでいて、静と動の緩急が素晴らしく、今まさに!というタイミングで流れてくる歌や音楽は見事にマッチしており、テンション上がりっぱなし。
そして、リョータの男泣きと泣く母親の背に一歩近づいて背中に兄の幻影を感じるシーンではこちらも号泣。まさか、SLAM DUNKに40歳近い男が泣かされるとは思わなかった…。
最終局面、漫画界でも屈指の名場面(と勝手に思っている)の花道と流川のハイタッチシーンですが、ここの演出は本当にすごい。
全てが濃縮されているというか衝撃がスゴかった。これを見れただけで映画館に見に来たかいはあった。
公開前は前売り券発売後にCGで作ってますとか声優総取っ替えですなどが発表され炎上もしてしまいましたが、それらすべてを組み伏せるほどのパワーと情熱を感じました。
…というか、違和感なく高速展開するバスケットボールの試合を表現するには、むしろCGでよかったくらいはあります。
そして、声優さんですが、どの方も素晴らしく違和感なかったです。なんなら、見終わった後は彼らしかいなかった!と思えるくらいでした。
青春補正で点数は少し甘めですが、ぜひ見て頂きたい映画です。