このレビューはネタバレを含みます
前情報を一切入れずに鑑賞することに成功。冒頭、宮城の少年期のエピソードから始まり、オープニングを挟み、山王のメンバーが画面いっぱいに現れた瞬間、「本当に山王戦をやるんだ！」と胸が熱くなった。まるで夢を見ているかのようだった。
本作では、宮城のボックボーンを色濃く写すエピソードを描きながら、あの山王戦を本格的にアニメーション化している。オープニングの井上雄彦先生の手描きのアニメーションから心が躍り出し、The Birthdayの轟音が鳴り響き、そして山王のメンバーが映し出されて、この上ない興奮をおぼえた。
公開前、キャスト陣が一新されることが発表され、ネットは荒れに荒れ、かくいう自分もガッカリしてしまった。本作への期待も落ちてしまい、本当に観るか躊躇するほどであった。ただ、公開を迎え、Filmarksを軽く覗いてみると、どうやら高評価のようだと知る。一転、これはネタバレを食らう前に観に行かなくてはならないと思い、劇場へ急いだ。たしかに新しいキャスト陣には違和感があり、桜木にいたっては「誰？」と思うほどだった。声が違うだけで、よく似たそっくりさんを見ているような気分になってしまうのだから、声優の仕事はすごい。
声に慣れるまで時間は要するが、作品としては非の打ち所のない素晴らしい出来栄え。初めて原作で山王戦を読んだときの、あの興奮が、あの感動が蘇った。これから起きる展開や台詞がわかるからこそ、それに身構えてフライングで泣いてしまう。山王戦というたった一試合に詰め込まれた、名シーンの数々が美しい作画と演出で描かれるのだから、本作が素晴らしくないわけがない。泣いてしまった。好きなシーンはたくさんあるが、なんといっても、最後の桜木と流川のハイタッチにいたるまでのプレーを、美しいアニメーションで観ることができたのが嬉しい。
