マインド亀

THE FIRST SLAM DUNKのマインド亀のレビュー・感想・評価

THE FIRST SLAM DUNK(2022年製作の映画)
5.0
一回目
2022年12月29日
MOVIX京都DOLBY Cinema 2400円
二回目
2023年1月7日
T・ジョイ京都 1900円

●結論から言うと、控え目に言っても大傑作。始まって5分、オープニングのラブロケッツのイントロから感情が揺さぶられ反射的に身体硬直が起こってしまい、終盤には死んでしまうんじゃないかと思うくらいの殺人的神作品でした。

●当方、原作はリアルタイムで完読、アニメは見てなくて、再読はしてないのでストーリーの大枠は覚えてる程度のライト層でして、正直映画化に対してそこまで感慨はない程度でした。あまりの評価の上がりっぷりに我慢ができず見に行ったが最後。これはスポーツ映画史、アニメ史、映画史、そして自分のマイベストムービーに名を残しても良い映画とまで思ってしまいました。

●オープニングの手書きスケッチが次々と動き出すところでもう目から涙。あの漫画そのままのキャラクターが、それぞれの個性ある動き方で動いて5人が並ぶ、この絵のかっこよさ。山王の強烈なラスボス感、最高のオープニングです。

●例えるのもはばかられるのですが、サッカーワールドカップの手に汗握る試合、あれをフィールドの中から観戦している感じというのでしょうか、結果はわかってるのに全力で声を出して応援したくなる最高のスポーツ観戦体験なのです。スポーツなど全くしない自分が此処までスポーツで感動を受けるのは初めてなのかもしれません。創作物ですが本当のスポーツなのだと思います。それだけコートの中の出来事が全てリアルな試合運びなのです。時間運びにも全く嘘がない。

●ドラマ部分でも本当に泣かされてしまうのです。リョーちんファンの嫁は、「リョータに重荷を背負わせすぎ」と言っていましたが、回想シーンのすべてが、試合の手に汗握る展開のブースターの役割を発揮しまくってて、感情がどうにかなってしまうので全て私は良かったと思います。

●確かに、TVシリーズ版のリョータ登場回を見直してみると、リョータは「あやこちゃーん!」などと叫びまくるコメディリリーフだったのでその落差はすごいものがありました(笑)それでもこの映画のリョータとアヤコは落ち着いてて、大人っぽくて、素晴らしい個性を与えられていたので、原作では他の四人よりも影の薄いリョータが最高に輝いておりました。アヤコ本当にいい女です。リョータは、どの場面でもビビってるし、周りの天才的な選手にいちいち「すげえ…」とか反応してるし、その弱さが強調されています。反対に花道や流川の天才性が浮き上がるようになっています。またそのリョータの弱さ、負け続けてきた体験こそが最大の武器になるのですが、このおかげで観てる自分に勇気をもたらしてくれるのです。(とはいえ、周りが天才すぎて決してリョータは凡人ではないのですが…)

●最近のモーションキャプチャーを使ったCG映画などは、動きがリアルですがヌルヌル動くためかえって不自然でチープな感じがします。ですがこの作品は実際のモーションをトレースしてるものの、すべてのカットとコマが映画的で、ヌルヌルではなく極めて漫画的というとても不思議な映像です。それでいてめちゃくちゃリアル。おそらく骨格の動きをしっかりと描き分けているからなのかもしれません。井上雄彦先生は、手塚治虫や大友克洋に続くアニメーション作家になったと思います。この調子でバガボンドなどを映画化してくれないかなぁ、などと空想してみたりしております。

●昨年は本当に何回も見たい神映画がいくつもありました。トップガンマーヴェリックやRRRがそれでしたが年末にこのスラムダンクがそれらを超える勢いでマイベストムービーに躍り出るとは全く思ってもいませんでした。本当に最高。皆様の盛り上がりっぷりに本当に感謝したいとおもいます。
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