さすらいの旅人

アステロイド・シティのさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)
3.7
★私の写真を勝手に撮らないで下さい
【VOD/Amazon Prime/配信視聴/シネスコサイズ】

摩訶不思議なウエス・アンダーソンの映画と言える。
50年代風の舞台と劇中劇を交互に描き、現実とSF世界を描く演出はさすがとしか言いようがない。砂漠の街アステロイド・シティのセットは、ジオラマやミニュチュアで作られたようであり、ペンキで塗られたような極彩色は正に異世界である。そしてレトロな雰囲気があり、少年少女の夢の世界とも言える。

現実世界の舞台俳優の悩みも語られており、劇中劇の俳優の演技と重なり何とも言えない重厚な人間ドラマとしても味わいがあった。劇中劇はPOPな世界でもあり、天才の子供たちが発明した驚きの品々は大変興味深かった。

独特のカット割りは移動撮影も含めて独創的であった。その構図には日本映画に影響されたような場面も多々あった。この映画の難点は何をテーマにしているか良くわからない点だと思う。