順慶

余命10年の順慶のレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
3.6
原作者の小坂流加は、原発性肺高血圧症で亡くなっている。デビュー作「余命10年」は文庫化される際に、小坂が当初は避けていた闘病シーンなどが大幅に加筆・修正された。その直後、病状があったし、38歳で亡くなった。2017年、その文庫本の発売前だった。

以上が、映画を見終わって、Wikipediaで知ったこと。せめて原作者が病気で若くして亡くなっているということぐらい知って見るべきだった。
知っていれば、作家に(=まつりに)もっと感情移入して泣けたはず。つまり私は泣けなかった。

 “涙は流すよりも、こらえるほうが泣ける”

「そしてバトン」でも感じたことだった。いいストーリーだけど、登場人物が泣きすぎる。
感情はおさえている方がグッとくる。そしてその感情が爆発されたときに、私の涙腺が崩壊する。それは「キミスイ」のラストがそうだった。

映画を見れば見るほど自分を知ることができる。この手の映画で自分の涙腺を知ることができた。

泣けるかどうかは別として、まつり(小松菜奈)と出会ったことで成長していく利人(坂口健太郎)。家庭環境は深く描かれなかったけれど、最初の優柔不断な感じからの成長がよかった。もちろんリリーフランキーのおかげだ。

家族の関わりかたって難しい。
心配しているが何も語らなず涙を流す父親と、こらえきれない涙を席を外して流す姉。

季節が変わることで、時の経過がわかり、まつりのタイムリミットを感じる。
順慶

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