よつ

余命10年のよつのレビュー・感想・評価

余命10年(2022年製作の映画)
3.5
う〜〜ん……
実際に闘病された方の体験が元になっているのに、感動的に仕上げようとする演出のせいでリアリティーが薄れてしまった印象。
一言でいえばご都合主義。

映像や役者の演技が良かっただけに残念。
小松菜奈が感情を露わにするシーンの迫力は凄まじく、思わずもらい泣きしそうになった。
一瞬しか映らないifのシーンもきちんとセットや役者たちを揃えてロケしていたのが凄かった。
『最後まで行く』でも思ったが、藤井道人監督はこういう細々した場面も手を抜かないのがとても好感を持てる。

主題歌がRADなのにKing Gnuの井口がちろっと出てるのはちょっと面白かった。

(以下ネタバレ含)

ずいぶん前にフラれた坂口健太郎が、なぜ何の切っ掛けもなく突然バイトばっくれて、小松菜奈に会いに行く?
しかもノンアポで、彼女の最寄り駅を徘徊するという非効率な方法で。
そしてそれが小松菜奈が自暴自棄になっていたタイミングと重なり、2人はめでたく結ばれる。んなアホな。
例えば小松菜奈から自●を暗示させるようなLINEが届いて、バイト飛び出して会いに行くとかなら分かるけど。

自分の店のオープン日に“たまたま”彼女の友人がゲラ持ってきてくれて、それを読んだら会いたくなって病院に駆けたら“たまたま”今際の際で……みたいな、無理やり運命的に仕立てようとする展開に辟易する。
危篤状態の小松菜奈がうわ言で坂口健太郎の名前を呼んでいたから、父親か姉が坂口に連絡するもオープン日だから中々行けず、到着した頃には…みたいな展開でいいじゃん。
よつ

よつ