IkTongRyo

GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊 4Kリマスター版のIkTongRyoのレビュー・感想・評価

3.9
「人間」や「生命」を定義づけるものはいったい何なのだろう?

その疑問に真向から立ち向かう、『攻殻機動隊』初の映像化作品。

押井守監督による伝説の名作。まさに近未来SFの金字塔。

『AKIRA』の系譜を継ぎ、世界のクリエイターに影響を与えた不屈の名作を待望の4K IMAXで鑑賞できる贅沢な体験に感謝。もちろん、池袋グランドシネマサンシャインにて。ちなみに初鑑賞。

いまでこそ当たり前に多用される「サイボーグ」や「電脳」といったSF要素を本格的に、オリジナリティあふれる演出で描写。

後続の『マトリックス』をはじめとした数々のSF大作も、今作から影響を受け、今作と比較をされる運命にある。まさにエポックメイキングな映画と呼ぶにふさわしい。

サイボーグが闊歩する、最新テクノロジー満載の近未来。けれども舞台背景は80~90年代の古い香港。この撞着語法により、素子たちの異質感がより引き立つ。ときおり空を覆う巨大な旅客機の影も、鑑賞者にちょっとした恐怖を与える。

加えて、当時は珍しかったCG映像と古き良きセル画が見事に混ざり合うことで、新旧を合わせた奇妙な世界観をより一層際立たせる。

その緻密で不気味なアニメーションは唯一無二。

バトーや少佐といったキャラクターはとても魅力的で、そこに命を吹き込む声優たちの演技も超一流。テレビ版とは完全に違う素子のキャラクターデザインも目がとても特徴的で脳裏に焼き付くようなまなざしを持っている。

音楽も『AKIRA』の芸能山城組ように、民謡的なメロディや唄を取り入れることで近未来な世界観との一種の矛盾を生み出している。そんな独特の楽曲は、劇伴の枠を超えた独自性を持ち、とてつもなく印象に残る。

続編の『イノセンス』やテレビ版も観ないといけませんね。
IkTongRyo

IkTongRyo